最後の戦い
昨日と今日は、中学校3年生の息子が所属する御野場中柔道部の県中総体の大会があったため会社を休んで会場に足を運びました。
思いおこせば幼稚園の年中から市内でも屈指の強さと厳しさで有名な御野場柔道スポーツ少年団 (現在は御野場石川道場に改名)に「親の希望」で入団させました。
「親の希望」というのは、自分は全く柔道部に所属したこともないのですが、「男は強くなければいけない」という思いから、「道具を使わない格闘技=柔道最強」ということを私自身が信じていて疑うことがなかったということもあり、無理やり入れました。
同時に始めた子供たちも数人おったのですが、小学校に入った頃から力の差が出てきました。というのもうちの息子以外の子供たちは様々な大会で優秀な成績を修め始めて来たのです。
それに引き替えうちの息子は肝心なところでは勝てない、覇気がない、向かう姿勢が感じられない、など親の目から見てもイマイチなところが感じられ、日常的に指導者からそこら辺を指摘され、怒られ、外され、「おまえは格闘技に向いていない」などとも言われ、親子ともども悩みました。
息子に問いただしても的を得たような回答が出てくるわけでもなく、
「やはり柔道は嫌いなんだろう。だからやる気がないんだ」と親として思っていました。
そして中学に進学する際に、通常の学区でいくと我が家は「城南中」なのですが、
息子が所属するスポ少(道場)の卒業生たちはほぼ「御野場中柔道部」に越境してでも進ませるのが慣例になっており、
まさかうちの子はその先のさらに厳しい環境で柔道をやることはないだろうと思っておりました。
すると、息子は「今まで一緒に柔道をやってきたメンバーと一緒に御野場中で柔道をやりたい」ということを申し出てきました。
耳を疑いましたが、ついにやる気になってくれたのか!と内心うれしくてうれしくてどうしようもありませんでした。
中学校柔道の最高峰は全中に出場することです!
三年時になんとか団体で全中に出よう!と親子で誓いました。
しかしながら力の差、やる気の自己表現方法、 何をとっても小学校時代と変わることなく進み、親も指導者も怒りは極限まで達していました。
息子のせいで団体戦が敗北になったことは何度あったことでしょう!個人戦なんかは入賞は程遠い、親として理想としていることが何一つ実現できない日々が続いておりました。
そして迎えた全中予選でしたが、あえなく準々決勝で負けてしまいました。
前日、選手・指導者そして自分とで宿に泊まって試合に関してのミーティングを行いました。
内容はほぼ息子への指導とその作戦に絞られました。そして息子を鼓舞する時間になっていったのです。
息子が勝てばポイントゲッターがわがチームには2人いる、だからお前がキーポイントだということ!
本番当日、息子の顔は違っておりました。今まで見たことがないような闘争心むき出しの顔でした。
先鋒で出場した息子は前日言われたように確実にポイントを重ね、勝利しました!
しかしながらチームは2-3で惜しくも負けてしまいました。
結果は結果として真摯に受け止めたいと思いますが、
試合を終わった息子が泣いているのを初めて見ました。悔しくて泣いているのを初めて見ました。どんな時でも負けても泣くことがなかった息子が本気で泣いていました。
本気で今のメンバーで全中に行きたかったんだろう! そう思っていました。
そして帰りの車は息子と二人になったのですが、息子が車に乗り込むなりいきなり大泣きしました。
そして「全国大会に連れていけなくてゴメン」とかろうじて声を出して言ったのです。
息子はやはり親である自分に気を使って、勝って親を喜ばせたいという気持ちがあったのでしょう!その時はじめて自分の欲望・親としてのエゴやプライドを一手に息子へ背負わせていたのだろう、と気づきました。
たまらない恥ずかしさを感じると同時に、息子に申し訳ない気持ちで私も一気に大粒の涙を流してしまいました。
そして息子に言いました、
「俺なんか全国大会に行かなくたっていい!お前ら自身が行けないのがかわいそうで・・・。今までいろいろつらい練習や、いろいろ厳しいこと言われてきたのにも耐えてお前はすごいよ。
お前を誇りに思うよ、息子として誇りに思うよ」
今後、高校に進学するにあたってはすべて本人の意思に任せようと思っています。
たとえ柔道部に入らないっといっても、柔道部が無い学校にいっても、強豪柔道部に入るといってもいい。すべては本人が決めること!
ただ一つだけ希望するのは
今までもこれからも「柔道」を好きでいて欲しい。今までやってきた柔道の思い出が嫌な思い出にならないためにも